ちくわほう
ようやく終わることができる。
彼女の遺志を継ぎ聖戦を始めてから5年。
今日、ついに私たち「ちくわ解放戦線」はこの戦いに勝利することになるだろう。
黒光りする大きな筒に手を這わせ私は幸福感に包まれる。
この「ちくわ砲」によって王国軍のすべてを吹き飛ばす。そしてこの圧倒的な力によって私が世界を支配するのだ。
私が初めてちくわを覗いた日に襲い掛かってきた機関の男とも長く戦い続けたが昨日、ようやくその生に終止符を打つことが出来た。生きているときは的確に私たちを阻んでいたあの男ももういないと考えると寂しいような気持ちになる。
5年前のあの日、私がちくわを覗いた日、聖戦が始まった日。思えばあの時にいたメンバーももう私しか生き残ってはいない。
しかし、私たちの意思を継ぐ同志は大勢いる。きっとちくわによる幸福な世界を築いてくれると信じられるものたちだ。
これまでの5年間、彼女の死から始まった聖戦を思い返し、噛みしめ、私は眠りにつく。世界を手にする明日を楽しみに。
「おはようございます、同志」
「ああ、おはよう。いよいよだな」
「はい!ようやく我らが報われる日が来たのですね!」
「そうだな」
ちくわ解放戦線の同志と言葉を交わしながら前線へ向かう。
ちくわ砲を使用するまで残り130秒程度。指導者としてその威力をこの目におさめなければならない。